安全登山の基礎知識

登山
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山を知るほど楽しくなる。
一つ山を登ると、もう一つ山を登りたくなる。
山に登ってみたいけど、どうしたらいいの?何を持っていったらいいの?もし怪我したら?もし道に迷ったら?など、安全に登るための基礎知識がわからない。という方に基本的な知識を学びましょう。

遭難防止の基礎知識

2016年の警視庁の統計による山岳遭難者の事故原因はご覧の通り

2016年山岳遭難者の事故原因(警視庁)

事故原因で最も多いのは道迷い、滑落、転倒と続きます。
道迷いは地図とコンパス、最近ではGPS対応のスマホアプリなどもありますが、現在地を確認しながら行動すればまず起こらない。たとえ途中で正規のルートを外れたとしても、どこかの地点で”おかしいな”と気づくはず。この場合、”道に迷ったら必ず引き返す。”これは鉄則です。この道迷いが多いのも、基本的な技術が身についていない登山者が増えているのも原因の一つでしょうか。
 また、滑落、転倒については『油断』『不注意』『慢心』これらを意識して登山すること。あまり焦ってしまい、こまめな休憩も取らずに山頂を目指す。なども原因の一つ。こまめな休憩もとりましょう。

リスクマネージメント

単独登山は、もしものリスクが非常に高い、それを回避する方法と準備としてストレッチ、サプリメント、水分摂取、エネルギー切れなどが挙げられる。

①ストレッチ


まず、登山スタート前の軽い準備体操をしておきましょう。例えば登山道に入る前に広いスペースがあればそちらを利用して軽いストレッチ。

②サプリメント


登山向けのサプリメントとして、アミノ酸、クエン酸、各種ビタミンなどがある。アミノ酸は体を酷使すると糖質と脂質だけでは補いきれず、筋肉などのタンパク質から分解されたアミノ酸がエネルギー源として使われます。アミノ酸を摂取すると、筋肉増強効果や疲労回復を早めます。クエン酸は運動後の筋肉疲労を軽減させます。各種ビタミンは軽く触れますが、ビタミンB2は、糖質・脂質・タンパク質からのエネルギーの生成に関わり、激しい運動での必要量が増える。ビタミンCは疲労回復。ビタミンEと共に抗酸化物質として活性酸素を除去する働きをする。

③水分摂取


登山では多量の汗をかきます。そこで水分摂取をしないと脱水症状や疲労、足が攣りやすくなります。脱水は熱射病、膀胱炎、高山病などの危険をもたらし、血液が濃くなると、血液粘度が増して血栓ができやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞、肺塞栓などを起こしやすくなると言われております。
脱水量は次の計算式で算出されます。
50kgの人が6時間歩いた場合・・・5ml×50kg×6h=1500mlが脱水量になる。
体重の2%までの脱水は問題が少ないと言われております。つまりこの場合、50kgの2%は1000mlなので最低でも500mlは飲水する必要がある。

④シャリバテ予防


炭水化物(糖質)不足によってバテることを”シャリバテ”と言う。糖質は分解しやすく、すぐエネルギーになるので登山中は糖質を取ることをおすすめします。糖質とタンパク質は吸収に時間がかかるので、あまりおすすめはしない。休憩時の行動食には、ブドウ糖を含む飴かチョコレートなどがよい。炭水化物としてはパンやおむすびなど。あまり一気に摂取すると胃腸に負担がかかりだるくなるので小刻みに。ちなみにバナナは消化吸収が良くおすすめです。

⑤着替え
季節にもよるが、登山は季節にかかわらず多量の汗をかきます。特に登り時に汗をかき、山頂などで休憩する場合、着替えるのが一番良いが、環境により着替えができない場合は必ず羽織る防風、防水素材やフリースなどの上着は必ず持参するようにしましょう。

ファーストエイドキット

携行したい医療キットは少なくないが、軽量化も重要なので必要最低限のものを持つのがよい。
外科系のキット、内科系の薬、医療グッズなど。
・包帯
・テーピングやキネシオ
・絆創膏
・ガーゼ
・三角巾
・消毒液
・ハサミ・ピンセット
・鎮痛剤
・整腸剤
・風邪薬
・ポイズンリムーバー
・エマージェンシート
使用したら補充を忘れずに!

起こりうる症状

山では、さまざまな怪我や病気や症状が起こります。予防法や対処法を簡単に触れておきます。
※医者ではありませんので、ここでは専門的な事までは触れません。

①突き指
関節がずれて元に戻った状態で、靭帯が伸びて腫れる。固定が必要なので患部を動かしても痛くない方向にテーピングで固定する。特に足首を内側に捻ってしまうケースが多いので要注意。

②捻挫
痛み、腫れ、皮下出血によるアザを生じる。テーピングて固定し、できれば冷却して内出血を防ぐ。

③脱臼
関節で骨がズレてしまった状態。整復が難しいので、下山後に専門機関へ。

④骨折
骨折は判別が難しい場合もあるが、変形がはっきりしている場合は骨折とわかる。出血量が多くショック状態になる可能性もありますので緊急搬送など軽度、重度の場合によって対応も変わります。必ず専門的な治療を受けましょう。

⑤靴づれ・まめ
くるぶしやかかとなどに起こりやすいが、足裏に起こる場合もある。対処法としては登山シューズは購入時に入念な試し履きをして、自分の足の形にあったシューズを選ぶこと。購入後、短時間でも履き慣らしておく。症状を起こしてしまった処置としては、患部にテープを貼る。決して水ぶくれした皮膚はむしらないように。皮が破けてしまった場合は、軟膏を塗る。

⑥足の攣り(こむら返り)
足の疲労や足の冷えから起こりやすく、初心者と中高年齢に多い。ふくらはぎと大腿に多いが、足底の場合もある。予防法はクエン酸やアミノ酸の摂取、漢方薬芍薬甘草湯の服用。脱水と血中塩分のアンバランスで起こるので、スポーツドリンクや味噌汁など塩分補給をする。出発前や登山中のストレッチを行う。寒いシーズンでは、足の冷えも原因となるので冷やさない服装にするのも有効。

⑦肉離れ
筋肉が一部または全部断裂した状態のことを言う。ふくらはぎや大腿に多く疲労時や冷えた時に多い。テーピングと冷却が必要。

⑧虫刺され


ブヨやヌカカは水辺(沢や渓流)で刺されやすい。ブヨは刺すというより噛むですかね。噛まれると小さな出血痕が見られ、周囲が赤く腫れ上がります。噛まれた時、若干の痛みを感じる。ヌカカは水辺て一塊の集団でいることが多く、うっかり通ってしまうと集団に刺されてしまうことがあります。刺された直後は感覚はないが翌日以降に腫れとかゆみが起こり水ぶくれになる可能性もあります。予防法はウールの衣類を避け、ポリエステルのような樹脂製のものを着る。肌の露出も少なくする。ちなみにブヨには虫除けスプレーは効果が少なく、ハッカ油が効果的。ヌカカはハッカ油や虫除けスプレーを使う。刺されてしまった場合は、抗ヒスタミン軟膏、副腎皮質ホルモン軟膏を塗る。刺された瞬間がわかれば毒液を指やポイズンリムーバーなどで絞り出す。痕がシミになる場合もあります。

⑨蜂


蜂による死亡事故は年間20名以上。実は熊やヘビによる被害より多く、蜂は人にとって最も危険な生き物と言えます。スズメバチは8〜9月に活動が活発となります。特にキイロスズメバチは攻撃性が強く、巣の近くなどの縄張りに侵入してしまった場合は、襲いかかってきます。ちなみに自分もキイロスズメバチに頭を2箇所刺されたことがありますので、巣に気づいた場合、素早く立ち去る。特に黒いものに襲いかかってくることが多く頭は要注意ですので、帽子を被るなど対処しましょう。白なら安全というわけではなく、夜間は白いものに襲いかかるという説もありますので注意が必要です。

⑩熊やイノシシ


ヒグマ(北海道エリア)は気性が荒いく、ツキノワグマ(本州)も大型で危険です。子連れは警戒心が増していて危険。冬眠前後の空腹時も注意。遭遇を防ぐためには音を立てたり、歌うなどしてこちらの存在を知らせる。基本的には臆病ではあるが、人間と遭遇し攻撃などをしたことのある、味を絞めてしまった熊には効果がないということもあります。遭遇してしまった場合は、慌てて逃げたり叫んだりせず動かないように。攻撃の気配がない場合は、静かに後ずさりする。うつ伏せになり背中をザックで守り、手を頭の後ろに組む。
 イノシシは基本、夜行性だが人がいない橋では日中も行動する。突撃されて足を骨折するケースが多
い。遭遇してしまった場合は、岩や木の上に逃げる。

まとめ

 ここに記載しているは、基本的な知識です。記載されている以外に起こりえることもたくさんあります。登山に行く際は、事前準備と事前情報が非常に重要となります。登山に行く場合は、身内へ伝達と登山届を提出する義務などもあります。未然に防げることはあらかじめ行っておきましょう!

素敵なOUTDOOR LIFEを!

■山の用語集
初級編 1〜50
初級編 51〜100
初級編 101〜140
中級編 1〜50
上級編 1〜40

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